Je t'aime comme la tombe.

フランス革命萌え語り。あとは映画と野球?ハムファンです。

好きな文庫本

趣味欄に読書と書いたことがない。

しかし私は読書が好きだ。大学で空き時間ができれば図書館に向かい、街に出ると必ず本屋に立ち寄る。本を読むという行為は歯を磨く、食事するのと同じような日常動作の一部となっていて、特別な趣味とも思えない。

ただし読む本のうちの大半は図書館のお世話になっている。読む本を次から次に買ってしまえば2週間で破産の憂き目だ。それでも私は本屋に行き本を買うことが好きだ。所有する本が増えると、衣服や化粧品が増えていくのとは確実に異なる満足感や充実感を覚える。

予算の関係と持ち運びやすさ、ひいては読みやすさ)から私が買う本の大半は文庫本だ。しかし世の中には多種多様な文庫本レーベルが存在する。色々な文庫本を買ってきたが、(部屋にあるだけで15種類)、その中でも私が好きな文庫本レーベルを3つ挙げる。

河出文庫

画像1

河出文庫の1番の魅力は装丁だ。カラーのツルツル感と相まって遠くから見ても目を惹く気がする。本棚の中で鮮やかに輝いているように思えるのだ。

初めて読んだのがランボー全詩集で、その後アルトーの作品が続々出ていたのでアバンギャルドな印象がある。ちなみに中学3年の頃はランボー全詩集と『神の言葉と訣別するため』の2冊を常に持ち歩いていた。

光文社古典新訳文庫

画像2

手に馴染むマット系。抽象的だが読了すると本文の内容と合致していることが分かる表紙イラストも良い。

中高生の時に学校の図書館に全て揃えられていたので、その時はずいぶんお世話になった。それどころか、もしこのレーベルがなければ私は仏文どころか文学部を選ばなかっただろう。「いま息をしている言葉で古典を。」というキャッチフレーズが素晴らしい。しかし作品セレクトの基準がよくわからない。初めは既訳が入手困難だったり本邦初訳の作品が多かったが、最近は手に入りやすい既訳が存在している作品の翻訳が増えた気がする。(外国文学の需要を考えると仕方ないのだろうか) ただし『未来のイヴ』や『狭き門』など既訳が読み辛かったり登場人物の話し言葉現代日本語と相容れないような作品の新訳は良いと思う。

ちくま文庫

画像3

ツルツルしておらずマットとも言えない、最も文庫本の表紙の中でノーマルだと思われる紙質(名称は何だろうか)。装丁のお気に入りは「ロルドの恐怖劇場」。真面目なセレクトが多い印象があったが、よく考えると栗原康編のアナキズム・アンソロジーブコウスキーなど意外と攻めていた。

私は本を内容だけでなくモノとしても愛しているのだと思った。図書館で借りるだけでなく、買うに至る本は内容もさることながら、モノとしても魅力的だ。ある意味宝石に相通ずるのではないかとも思った(持ってはいないが)。

とはいえ内容も重要であるのは今更言うことでもない。私は翻訳物が好きなのでこの3つを選んだが、各々の好みによってセレクトも変わるだろう。国内文学好きや、SFや時代物など偏愛するジャンルがある人だと全く異なるのではないだろうか。ぜひ様々な人の好きな文庫本レーベルも(あえて3つなど数を絞って)知りたいものである。