Je t'aime comme la tombe.

フランス革命萌え語り。あとは映画と野球?ハムファンです。

『阿寒に果つ』と「よみがえれ!とこしえの加清純子 ふたたび」展

www.amazon.co.jp 雪に埋もれ眠り、凍りついて死ぬという象徴的なイメージ。 好きな小説なのに、何か書こうとするとどうしても筆が止まってしまい三年くらい放置していた。今ならまとまったことが書けそうなのでキーを叩いている。 純子の姉、蘭子が妹に対し…

本当は暗い文学キャノンの世界 (あるいはAO3のレーティング)

拙い英語でAO3 (Archive of our own, グローバルな小説投稿サイト) にたまにファンフィクを投稿している。ファンダム自体マイナーだしそれほど見られていないのだが、「いいね (kudos)」やコメントがつくと嬉しい。 このAO3に投稿するにあたってほぼ毎回頭を…

墓の彼方からの愛とクィアな欲望―ミシュレ『革命の女たち』

このブログでデタラメだ作り話だと何かにつけ批判しているジュール・ミシュレのLes Femmes de la Révolution (1854)(邦訳『革命の女たち』なおネットで公開されている。)だが、文学作品として面白いのは否定できない。 オランプ・ド・グージュのイメージ受…

リュシル・デムーランの日記 (Journal 1789-1793) とその写し間違いについて(追記: mastodonアカウントの話)

革命家カミーユ・デムーランの妻で、自身もギロチンで刑死したリュシル・デムーラン(デュプレシ)の日記を読んだ。ダントンの最初の妻であるガブリエル・シャルパンティエに関する信頼できる一次資料は親しい友人だったリュシルの日記と手紙しか今のところ…

アレクセイ・トルストイ『ダントンの死』感想

有名な『おおきなかぶ』の作者でもあるロシア(ソ連)の作家アレクセイ・トルストイによる、ビューヒナー『ダントンの死』の翻案 (1919)。 存在はずっと知っていたが、戦前出版で図書館によっては貴重書扱いされているらしいので読むのは諦めかけていた。だ…

ブラック校則レジスタンス?-ビューヒナー『ダントンの死』

その誠実な連中ってのが我慢ならなかったんだ。ああいうそっくり返った謹厳居士たちを見てると、蹴っとばしてやらずにはいられなくなるんだ。僕の生まれつきの気性がこうなんだからな。(p. 136) 『ダントンの死』は個人的思い入れの強い作品なので、まずは思…

エドガー・アラン・ポーの美女再生譚シリーズ

エドガー・アラン・ポーの「ライジーア」「モレラ」「ベレニス」「アッシャー家の崩壊」「エレオノーラ」と、死んだ(と思われ)埋葬された女性が様々な形で甦る一連のシリーズを読んだ。死んだ女が蘇るとか、墓が掘り返され棺が開けられるとか、そういう話…

ベン・ハリスン『死せる花嫁への愛』ロマンティックとブラックコメディの間

本を読んでこんなに笑ったのは久しぶりかもしれない。 『死せる花嫁への愛―死体と暮らしたある医師の真実』|感想・レビュー - 読書メーター ベン ハリスン『死せる花嫁への愛―死体と暮らしたある医師の真実』の感想・レビュー一覧です。ネタバレを含む感想…

感想の断片:二階堂奥歯『八本脚の蝶』

この本を買ったのは昨年1月くらいだったと記憶している。並外れた読書家がいたものだなと思った。出てくるファッションブランドは憧れながら高価で、社会人になれば買えるのだろうかと思った。私もそれなりに読書家ではあると思ってきたし、所属してきた多く…

虚無主義者アリサ-ジッド『狭き門』

『狭き門』ジッド/中条省平・中条志穂訳, 光文社古典新訳文庫, 2015年 狭き門 | 光文社古典新訳文庫 愛し合う二人の恋はなぜ悲劇的な結末を迎えなければならなかったのか? なぜかくも人間の存在は不可解なのか? 誰しもが深い感慨 www.kotensinyaku.jp 翻訳…

好きな文庫本

趣味欄に読書と書いたことがない。しかし私は読書が好きだ。大学で空き時間ができれば図書館に向かい、街に出ると必ず本屋に立ち寄る。本を読むという行為は歯を磨く、食事するのと同じような日常動作の一部となっていて、特別な趣味とも思えない。ただし読…

バルザック『娼婦の栄光と悲惨』とラスティニャック

バルザック「人間喜劇」の『ペール・ゴリオ』『幻滅』『娼婦の栄光と悲惨』の通称’’ヴォ―トラン三部作’’を読み終わった。色々語りたいところはあるが、最も印象に残った『娼婦~』とラスティニャックについての感想を忘れないうちに書き留めておく(なお、全…