Je t'aime comme la tombe.

フランス革命萌え語り。あとは映画と野球?ハムファンです。

感想の断片:二階堂奥歯『八本脚の蝶』

この本を買ったのは昨年1月くらいだったと記憶している。

並外れた読書家がいたものだなと思った。出てくるファッションブランドは憧れながら高価で、社会人になれば買えるのだろうかと思った。

私もそれなりに読書家ではあると思ってきたし、所属してきた多くの集団の中で実際に一番読んでもいたが彼女には負けるだろう。

彼女は幻想文学愛好家だったようだが、そのあたりは私は疎いので勉強になる。私はこの本をブックガイドとして見ているのかもしれない。

彼女は残酷・グロテスクな物語も好んでいたようだが、一方で「フェミニスト」を名乗り「女」として扱われることを嫌悪している。「フェミニスト」とか「マイノリティ/マジョリティ」の枠に当てはめられたくないから私は枠組みをあえて無視して世界と向き合おうとしてきたが、彼女はあくまで「自身は女」ということを意識してきたようにこの日記からは思われる。彼女はいやでも「女」を意識しなければならない環境にいたのだろうか?

カトリックの聖女たちにあこがれていたようだが、ジッド『狭き門』のアリサについてどう思うか聞いてみたかった。初めて読んだ時、真っ先に思い出したのはアリサの日記だったからだ。

非・幻想文学的なフランス文学についてはほとんど言及がない。あまり好まなかったのか、読んでも感想を記すほどではなかったのか。一方で漫画もよく読んでいたと気づいて驚いている。

結末については何も述べまい。人生やその終わり方に文句をつける筋合いはない。