Je t'aime comme la tombe.

フランス革命萌え語り。あとは映画と野球?ハムファンです。

2021年/砂の時代

2021年もそれなりに映画は観たが、映画館ではやたらと砂を見た気がする。数えてみると砂が印象的な映画は3つあった。占いでは「水の時代」に入ったそうだが、私にとって2021年は「砂の時代」だったのか?

※ネタバレ注意。またホドロフスキー以外は全て映画館で見た。

ドリームランド

開拓時代のアメリカが舞台。マーゴット・ロビーが銀行強盗犯アリソンを演じていた。舞台設定は魅力的だが、ストーリーにあまり面白みが感じられなかった。特に主人公ユージンが人を撃った後パニックになったくだりにツッコまざるをえなかった。「わかってて銀行強盗したんじゃないのか?」アリソンが気の毒になってしまった。

ただしユージンが家出した日の砂嵐の描写は圧巻だった。砂が口に入ってくるように思えた。ユージンが住んでいた町の寂寥感や未来の無さは、おそらくこの大量の砂によるのだろう。唐突に差し込まれる彼の実父がいる(と想像している)メキシコ?の、インディーポップのMVのような画面が、余計にテキサスの砂をひしひしと感じさせた。

Netflixで見た『フィアーストリート』part3でも登場したが、この時代のアメリカの町内集会はとても恐ろしいと感じた。開拓地に必要なのは理解しているが、映画ではたいてい悲劇を増幅させる装置であると感じた。

デッドロック


1970年のドイツ映画で、今年リマスター版が公開された。映画館で見た中では2021年ベストムービーかもしれない。映画全体に漂う虚無や投げやり、夢も希望も理想もないのがたまらない。そのくせみんなトランクの金銭を追い求めているが、本当に金銭が欲しいのだろうか?サンシャインが登場する前、ダムとキッドの奇妙な共同生活の緊張感漂いつつもどこか滑稽な様子が面白かった。特にダムが金を持ち逃げしようと車に乗る→車にいたキッドが銃を突きつけるあたりはほとんどギャグである。それだけにサンシャインが現れてからの物語の緊迫と狂乱がとても印象的だった。ドイツ映画はほとんど観ていないので、2022年はこのあたりの映画を掘ってみようと思う。

カンの音楽もとても良かった。聴こうと思っていて聴いていなかったので良いきっかけとなった。

デューン/砂の惑星

話題になっていたので駆け込みで見た。ヴィルヌーヴ特有の曲線的な未来の光景(建物の内容やインテリア?)が壮麗。(余談だが、同監督のブレードランナー2049も絵はとても好みだった。雪が出てくるとは思わなかった)内容は確かに予告編と言われればそれまでだが、娯楽として面白かった。特にダンカンのアクションは単純にかっこいい!!

番外編:ホドロフスキーのDUNE

ヴィルヌーヴデューンを見たので、こちらも見た。ホドロフスキー作品は見たことがなかったが、とても勇気づけられた。前述の『デッドロック』に雰囲気が似ていそうな『エル・トポ』や高校生の頃フライヤーをみて気になっていた『リアリティのダンス』あたりを見てみようか。

リンチ版デューンを見て元気がわいた下りが色々と最高だった。ここまで言われるとリンチ版デューンを見てみたくなる。

それにしても計画の豪華さに度肝を抜かれた。特にギーガーのハルコンネン城は見てみたかった。無謀な計画も恐れずにやってみよう。失敗なんてなんてことないのだから。そう心から思うことができた。明るい気持ちになることができる、年の締めくくりに良い映画だった。

※2021年ラスト1本は『ラストナイト・イン・ソーホー』でした。